☆新たな命☆ 時折テーブルを拭きに来る店員と 2・3組のグループ以外は誰もいない 深夜の寂れたコーヒーショップで独り ラテと小さなデザートを頼んで 作りかけの小さな服地に通った針を またひとつ またひとつ入れてはまた掛けて 1段1段刻々と編みなしていく 今ではすっかり慣れちゃったな 新しく生まれる命 祈りを馳せて できあがっていくベビー服と同じ ボクの心は今 ひよこ色 嗚呼 月の神 星の御霊よ こんなに心醜いボクでも 神聖なるものに祈りを捧げて良いですか 真実の愛を越えた先に眠りし聖なる感動に 胸を打たれ 涙しても良いですか この夜が明けてあと一日が経ったとき ボクは背広姿になって教会へと招かれる 友の幸せをささやかに 温かく祝うため 出来上がったばかりのカーディガンを和紙にくるんで そんな柔らかな光に彩られたワンシーンを心に描きながら 拙くも魂の炎を込めて編み目を積み上げながら チクタクと静やかな足音を立てて過ぎ行く文月の夜 ボクの祈りを喜んでくれているかのように 窓の外 三日月がふんわり微笑んでいる 目指すは Samurai of Knit .
by knittman
| 2007-08-31 13:12
| 文芸作品
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